この研究は、スウェ-デン、イエテボリ大学環境衛生学科との共同研究のうち、日本側の研究部分をなすものである。国際的にみて、現在騒音評価研究の中で重要な課題としてクロ-ズアップされている、各種交通騒音の複合評価法を開発することを目的としている。本年度の研究の課題はは、日本及びスウェ-デンにおいて、共通の方法により社会調査及び騒音測定を行うことであったが、目標通りの研究実績をあげることが出来た。以下にその大要を記述する。 (1)調査対象地域の選定 研究の目的に適合した調査対象地域として、予備調査の結果、国道36号線、およびJR室蘭本線の沿線の登別市の住居地域を選定した。 (2)自動車騒音と鉄道騒音の実測 当該地域の基準点において、自動車交通騒音の24時間測定(2昼夜)、及び、鉄道騒音の24時間測定を行った。また、対象住戸への騒音伝搬の予測のため、地域20ヵ所において騒音の短時間測定を行った。 (3)住民の電話法によるアンケ-ト調査 対象地域の全住戸に対して、電話法によるアンケ-ト調査を行った。有効回答率は87.6%で、この種の調査ては近年希にみる良い成績であった。 (4)調査結果の分析と次年度への抱負 調査結果については、次年度において調査を継続するとともに、スウェ-デンにおける調査との総合的な比較検討を行う予定であるが、今年度における結果の分析を終えている。これによると、従来の各種の評価法の適合性はあまり優れておらず、今回導入したパス解析理論による分析が大変良好であった。これらの成果は、別掲の研究報告にまとめている。本年度の研究と国際比較によって、これらの知見を強固にして、複合交通騒音の評価法の提案を行いたい。
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