1.断熱気密化住宅の室内熱・湿気環境の実測.仙台市に近年建設された住宅3戸を対象として、室内熱・湿気環境に関する実測調査を行った。実測の内容は、住宅全体の気密性能、断熱性能、なびに居住状態における室内各部の温湿度、壁体内部の温湿度、室内二酸化炭素濃度などである。とくに、3戸のうち2戸の住宅については、設備機器として装備している集中換気システムの運転モ-ドを種々に変化させて、換気量の大小が室内熱・湿気環境ならびに空気環境へ及ぼす影響に着目して調査を実施した。その結果、断熱、気密化の進んだ住宅においては、結露防止や適切な湿気環境の保持という観点から、ならびに、室内空気汚染の防止という観点から、計画換気が最重要課題であることを確認した。詳細な分析は現在進行中である。 2.壁体表面および内部における結露の危険性判定に関する予測手法の検討。定常状態における壁体の熱と湿気のつりあいにおいて、結露が生じたときの凝縮熱、または蒸発水分量を考慮した計算法を検討した。この方法は、壁体表面温度に関する収束計算により温湿度分布と結露の判定を行うものである。また、現状での断熱気密化住宅の壁体構成を調べるとともに、計算に必要な室内外温湿度に関する境界条件の整理を行った。 3.室間換気を考慮した多数室の温湿度解析法の検討。室内湿度の形成には、室内での水蒸気発生と壁面での吸放湿作用のほかに、外気を含む室相互の換気が大きく影響する。そこで、まず、自然換気や機械換気による室間換気と、壁面間の相互輻射を含む室温計算を連成させた、非定常状態における室温変動計算アルゴリズムを作成した。壁面での結露と吸放湿の考慮は次の段階での課題である。
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