多槽連結型蓄熱槽について、搬送動力を軽減しつつ有効容積率の向上を計るために各槽の連通口をどのように設計すべきであるのかを検討するために、今年度は、連通口の大きさと位置の槽内混合特性に与える影響を連通口内部に発生する温度成層の形成過程の把握のために実験を中心とした以下の研究を行った。 1.入力側連通口と出力側連通口の相対的な位置関係の槽内混合特性に対する影響の検討のために、第1槽の入力口以外の連通口を全て下部に設けた連結槽での実験、そして連通口を交互に下部と上部に設けた連結槽での実験を行った。連通口が全て下部に設けられた場合には、流量が少ないと下部から入力された高温水が周辺の低温水と混合しながら上昇するために槽内に緩やかな温度成層が形成されるものの、時間と共に連通口より上部は完全混合状態となり、連通口より上部は全て蓄熱に有効であることが明かとなった。連通口が上下交互の場合には、下部の連通口から入力された高温水が上部の出口側連通口にバイパスする現象が確認され、流量が少ない場合には大幅に有効容積が減少する可能性があることが明かとなった。流量が多い場合にはいずれの場合も槽内はほぼ完全混合となるが、下部連通口より下は死水域となる可能性があることが確認された。 2.連通口内部に発生する温度成層の形成過程と連通口流速分布の関係を検討するために、連通口両側の垂直温度分布の測定を行い、槽内中央の温度分布と連通口内部の温度分布の関係、さらに連通口での流速分布との関係の検討を行った。連通口での流速分布については、換気理論を援用して連通口両側の槽中央の垂直温度分布から連通口両側の静水圧分布を求めて収束計算によりおおよその流速分布を求めるモデルを作成し、計測結果との比較を行った。
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