1.都市地中温度に関する情報の収集と分析 以下の各項目について小型デ-タロガ-と放射温度計を用いて実態調査を行った。a)大坂市営地下鉄の代表的駅におけるトンネル関係の温度の実測、b)大阪府下地下水位観測井における水温の計測、c)地下鉄隧道壁からの湧水温の連続測定である。いずれも従来いわれている温度よりもかなり高い。 2.都市化要因の大地の吸・放熱特性に及ぼす影響の分析 まず新しく定義した平衡地中温度を用いて、各種都市化要因(都市気候の変化、地表面のアスファルト化、建物によるア-バンキャニオン化など)の、都市地中温度に及ぼす影響の解析を行った。そして、地表面のアスファルト化や、地下室などの地中熱源の存在が地中温度に及ぼす影響が大きく、それによって大地の吸・放熱源としての特性に大きな影響を及ぼすことを明らかにした。具体的事例としては、地下オフィスを対象に数値計算的な考察を行っている。 3.都市地中温度マップ作成のための諸問題点の検討 (1)で集めた地中温度情報を用いて、地表面構成との相関解析を行った。その結果、いずれも実測値は地表面構成から説明される温度よりもかなり高いことが明らかとなった。これから、地中温度の予測は地表面材質の情報のみからは行えず、地中埋設熱源や地下水の流動の影響を考える必要のあることが結論づけられた。 4.地下空間の熱環境調整における大地の吸・放熱源利用法の考察 具体的事例として、地下鉄の熱環境保全システムの運転方法の考察を行った。この結果、地下空間の発熱量をあるレベル(限界発熱量と定義)以下におさえれば、地中の吸・放熱源としての特徴が十分生かせて、消エネルギ-と環境保全が両立することが明らかとなった。
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