概ね予定どおり研究は実施された。本年度は北海道および北陸(新潟)地方における住宅・住環境に関する実態調査、東北(青森、秋田)地域での住宅、都市施設としての雁木等に関する予備調査および同地域における住宅・住様式に関する既往の調査資料の整理、分析を中心にすすめられた。主な調査、研究の内容は以下の通り。 1.青森県青森市、弘前市、黒石市における雁木の実態調査よび新築住宅のデザイン動向調査(予備的調査)。秋田県秋田市および横手市における雁木、雪処理、住宅形態等に関する予備的調査。 2.新潟県上越市高田地区における伝統的町家型住宅と雁木に関する実態調査(夏冬2回実施)。150戸程度を抽出してアンケ-ト調査、間取り採取、ヒヤリング調査等を実施。主な調査内容としては住宅の形態、構造、空間構成、使われ方、雁木の構造、利用形態、雪処理方法、住宅の建替、維持管理システムなど。 3.札幌市における密集型建売住宅に関する居住実態調査。100戸程度を対象にしてアンケ-ト調査、プラン採取、ヒヤリング調査を実施。主な調査内容は住宅形態、住み方、雪処理、空地の利用形態、地下室の利用形態、集住に関する評価など。 4.北海道、東北、北陸各市における克雪型住宅、寒冷地型住宅および住宅地計画に関する資料の収集。 5.主に北海道、北陸各都市(長岡市、富山市、金沢市他)で行った住宅、住環境、雪処理等に関する既往の調査資料の整理、分析。 これらを通して(1)北陸地域における雪対策を考えた独特の集住様式の存在、(2)東北地域での特有の雪囲型住宅の存在と改善の必要性、(3)北海道において北方型高密度居住をめざす上で現状の密集型建売住宅のもつシステム上の可能性などが明らかになりつつある。
|