本年は、札幌市および秋田県横手市において住宅地の観察調査を行ったのに加えて、研究最終年に当たるため報告書作成のための整理・検討作業を行った。 (1) 札幌市内に分布する密集型建て売り住宅を数カ所取り上げ、庭の利用実態、隣棟間スペ-スの使われ方など、主として外部環境の面からこの住宅型の特性を検討した。 (2) 札幌市内で良好な環境形成を目指して開発された民間の戸建分譲住宅地を3カ所ほど取り上げ、夏期、冬期の両期にわたって住戸まわり、玄関アプロ-チ、車庫・物置等の付属建物、歩道部分、空き地、公園等の利用実態調査を行った。これにより、現状の住宅地の街区構成および住環境形成上の特性を明らかにし、あわせて集住の観点から現状の住宅地のプラス、マイナス面を検討した。 (3) 秋田県横手市において、昔からの伝統的なスタイルを残す住宅および郊外の新築住宅を対象に、街区構成、建物配置、住宅まわりの利用状況、庇の形態、車庫・アプロ-チの処理など、主に雪処理と集住の観点から実態調査を行い、雪国の住宅形態および住宅集合のあり方について検討した。 (4) 北海道、東北、北陸各地域でこれまで得られた資料を総合的に分析することにより、多雪地域に共通してみられる住宅の形態と集住の原理を探りだし、今後の北海道を中心とする多雪寒冷地域における都市集住様式の在り方を検討した。
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