研究概要 |
1.平成2年度は、平成元年度に明らかになった解決策を具体的に適応・普及させるため、保健婦、理学療法士の専門スタッフと共同にて直接個別調査ケ-ススタディを行い、35ケ-スの実測調査及び改善案の具体的な提案を行った。 2.住宅改善希望箇所は平成元年度の調査結果同様、トイレ、浴室のサニタリ-空間と階段、玄関の通路空間に集中しており,日本住宅の間取りが部屋中心に取られ、残ったスペ-スでサニタリ-、階段、玄関を取るため、高齢期の身体的機能の低下に伴い、住宅問題が顕在化し、広さ、手すり、段差等の改善が希望されている。 3.住宅改善を希望するタイプとして、50歳代から老後に対応しようとする「準備型」と後期高齢者のため、介護上から早急に改善を希望する「即応型」とに分類でき、前者は住まい方から在宅ケアの受け入れまでの広範囲で総合的な住宅改善が必要であり、後者は問題の集中するトイレ、浴室の改善希望が顕著である。 4.「即濯応型」は出入口幅を広く、手すりの設置、浴槽の縁の高さ、滑りにくい床等が主な解決課題であり、現状の改善では、40cm拡幅し、洗面・洗曜スペ-スの配置交換により出入口の広さを確保し、浴室内には出入口附近に移動用の手すり、浴槽内に手すり、座るためのイスの設置、本人の残存機能に対応した縁の高さ(20〜40cm)、開閉戸への変更を検討し、提示している。 5.「準備型」は高齢者の寝室と便所・浴室の隣接が介護面、住まい方の面から求められ、更に、「即応型」の解決策も同時に十分に検討されなければならないことがわかった。 6.住宅廻りも問題が多く、入浴サ-ビス等が接近できないケ-スもあり、まちづくり、地域づくりの視点から住宅廻りの整備も課題である。
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