研究概要 |
本研究課題の目的は、入院患者・入所者の属性別に離床率・離室率等を指標に生活場所の実態を比較し,また室内の行動を詳細に把握し、患者の生活と要求を分析することにある。さらに、生活行動、特に自主的行為の種類・時間が施設空間の充実度によりどう違うかを分析し、空間計画が自主的行動の充実に重要であることを確認する。これらをふまえて、施設の性格別に自主的生活行為のために用意すべき空間の種類と計画上の要点をまとめる事である。 本年度は前段での調査・分析記結果をさらに発展させるために、生活行動に特徴が顕著であると考えられる長期入所施設での生活実態の分析を目的として、小山田特別養護老人ホ-ムと小山田老人保健施設の全面的な協力を得て、朝の検温時間から夜の消灯時間迄、10分間隔で調査対象患者の居場所・姿勢・行為等を調査した。 これより、老人入所者の生活実態と現在までに判っている入院患者の生活実態を先の指標で比較することにより、病院と療養施設の類似点と相違点を求め、病棟の計画上の要点をより明確にする。調査結果は現在なお詳細な分析を継続中であるが、主要な結果を述べる。 生活要求の指標と考えている[離室率+積極行為率]が、ほぼ一定に分布をすること、行動の指標である[離室率]は病棟の空間構成により異なることを療養施設でも確認した。また、療養施設では患者の余暇生活にグル-プ活動が見られること、寝たきりに近い患者とほとんど室外で生活する患者に分かれこと等も分かった。患者の生活タイプを臥姿療養型・室内余暇型・外出型に分かれ、この生活タイプの違いによりベッド廻りの生活領域の作り方が異なることも判明したが、詳細はなお分析中である。
|