研究概要 |
1.地方都市においては都心部など一部を除くと道路交通容量に比して交通需要量は小さい。道路網整備計画はむしろアクセス機能に着目した検討が重要な意味を持つと言っても過言ではない。そこで,交通需要の多いゾ-ンペアについて,現状の道路網に基ずく最短所要時間と格子状に道路網が整備された場合に期待される移動所要時間の比として定義した迂回率をもとめ,迂回率の多いゾ-ンペアを地図表示するシステムを整備した。これを熊本都市圏の道路網に適用し環状道路やJRを横切る道路の必要性を明らかにした。 2.開発した交通流配分システムを用いて,熊本市の外環状道路など,2000年を目標に計画検討されている国道バイパスの整備効果を検討した。市街地の東部を貫く環状道路の完成によって,都心部を縦断する交通量が多少減少するが,環状道路自体に交通流が集中する恐れのあることが分かった。一方市街地の西端に計画された環状道路は,周辺の交通需要が少なく,また南端における幹線道路との接続が悪いなどの理由から.あまり多くの交通流を分担しないことなどが分かった。 3.路線バスによる移動所要時間を,一般の自動車交通と同様にダイクストラ法で解析するシステムを新たに構築した。これまで乗り継ぎモデルによる解析システムでは完全解が得られないことが分かったためである。熊本都市圏内の主要地点間の路線バスを乗り継いで移動する場合の所要時間を解析し,現状の路線網を評価した。環状路線網の必要性は示せたが,移動需要の点で余り多くの運行本数を期待できず,その場合は結局待ち時間が長くなるため都心で乗り継いだ方が早いなどが分かり,路線案を示すには至らなかった。 4.本年度までに開発したシステムの考え方やプログラムの概要,さらには熊本都市圏における事例分析の結果を報告書としてまとめた。
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