6つの都道府県市教育委員会におけるヒアリング調査と、全都道府県と11政令指定都市の教育委員会へのアンケ-ト調査、ならびに、2県において特殊学級関連の学校実態調査を実施した。情緒障害学級と言語障害学級については、在籍制のみ、または、通級制と在籍制の両方の方式をとる教育委員会が、難聴学級では、在籍制または通級制のいずれかの方式をとる教育委員会が多い。教育委員会によって、通級児童生徒の学籍を普通学級におく場合と特殊学級におく場合がある。他校への通級制では、学級の認定や教師の配当に関する制度上の問題と、授業時間が通級時間にとられてしまうこと、通級制に親の付き添いが必要になることが実際上の問題として指摘されている。特殊学級の設置校は、全般的に横這いまたは減少とする教育委員会が多い中で、情緒障害学級については今後設置校を増やしたいとするケ-スは比較的みられ、この中には、登校拒否学級の設置も含まれる。中学校の登校拒否問題への対策としては、保健室の機能を充実させて、きめ細かな対応を行えること、カウンセラ-や個別指導の教師を配置すること、個別的なわかる授業を研究・導入することの重要性を指摘する教育委員会が多い。院内学級の運営をみると、児童生徒が入院前に在籍し、退院後にもどる原籍校の教科書を使った指導をするケ-スや、児童生徒の入院期間に関わらず柔軟な対応を行うとするケ-スは少なくない。登校拒否児童生徒の入院が目立つ中で、院内学級の指導は治療効果を促進するといった意味から、高く評価されるケ-スもみられる。一方、児童生徒の入院期間が短期間で、転出入がはげしく、学級を維持できるだけの安定した児童生徒数を確保できないこと、中学校では、定数の関係から教科別の教師を確保できないこと、教室整備など病院側の理解が得にくいことなどが問題である。
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