特殊学級の運営を従来からの固定制と、児童生徒が特殊学級に特定の時間通級する通級制、特殊学級教師が児童生徒の在籍校を巡回する巡回制に分けて、特殊学級の望ましい運営方法を明らかにする。643市と都内23区の教育委員会へのアンケ-ト調査と、通級制と巡回制を併用した難聴学級等の実態調査結果からまとめてみる。 1.通級制は、言語障害、難聴、弱視、情緒障害の順によく行われている。精薄、病弱、肢体不自由においても1割程度の自治体は通級制を併用しており、制度上、固定制としても、実態として通級制が行われる場合は更に増えると思われる。精薄と肢体不自由以外では、巡回制を行う自治体が極一部にみられ注目される。 2.通級制は6割、巡回制は2割の自治体が整備の必要性を指摘し、それらの自治体では、言語、精薄、情緒、難聴の順に通級制を必要と考え、病弱、肢体不自由、弱視では巡回制の必要性もかなり指摘している。しかし、その実施上の最大の問題は、制度の未整備と、校外通級における時間的制約と付き添いの必要性である。 3.通級制を、校内通級と校外通級に分けると、校外通級では、授業時間が通級のためにとられてしまうため、学習進度が遅れるなど児童生徒にとって弊害が大きく、このため、校内通級の方が望ましい。または、児童生徒本位の運営である巡回制が望ましいが、グル-プ指導は仲間づくりや指導上、必要かつ有効であり、これは通級によって実施できる。以上、まとめると、校内通級は全種類の特殊学級において、児童生徒のニ-ズに応じて実施できることがもとめられる。校外通級と校内通級を比較すると、後者が望ましく、そのために通学が困難になる場合は、送迎サ-ビスにも配慮したい。校外通級の場合は、巡回制を児童生徒の実態に応じて導入できる運営が必要と思われる。
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