1.2年度にわたる本研究によって、「日本建築辞彙」改訂版を上梓するための基礎作業はほぼ完了し、出版にいたるまでのメドを樹てることができた。その段取りは次の如くである。(1)初版(明治39年)ならびに増補改訂版(昭和6年)の原文を対照しつつ、原文を現代ひらがな文に書き替える。(2)必要な最小限の加筆訂正を原文について行う.(3)原書中の挿図の出典を確認し、使用可能なものはなるべくその出典から採る。また変更した方がよい図版に新たに作成する。(4)以上の原文の組版に着手.(5)頭注の作成、原文の解釈に疑義のあるもの、引用文の確認、その後の語の変遷などはすべて頭注において処理する.(6)本文中の欧語の確認.(7)頭注中に加えるべき新たな図版の作成・選択.(8)頭注の組版に着手.(9)中村達太郎の履歴・業績などの調査.(10)凡例・あとがき・解説の執筆.(11)完成. 2.この2か年で必要な基礎資料の収集ならびに主要語の検討はほぼ完成し、かつ上記(1)(2)(3)が完了に近づきつつある。また(5)(6)(7)についても進行中であるが、完成までにはまだ若干の時日を要する。(9)については限られた資料しかないが、この作業を通して本辞彙の中村達太郎の金仕事のなかでの位置づけが可能となるであろう。
|