本研究はブレ-ク型ジョウクラッシャを用い、岩石の破砕機構を解明することを目的としたので、以下本年度の新らたに得られた知見について研究実施計画にもとずいて記述する。 1.科学研究費で購入した動歪測定器、ブリッジボックス及びフラットヘッドレコ-ダ(ペンレコ-ダ)を用い、軸トルクの計測とロ-タリ-エンコ-ダによる回転角速度の精密計測ならびに八角環ダイナモによる岩石破砕荷重測定等一連の計測システムを確立した。 2.主軸から岩石破砕に至る偏心軸、ピットマン、動歯板の運動について機構学的に軸トルクの理論を確立させ、無負荷運転における実験値と比較検討を行った結果、本機回転数が100rpm〜200rpmで良く一致することが判明した。 3.動歯板に加えられる岩石破砕荷重は固定歯板後部に本年度試作した軟鋼製の八角環ダイナモロ-ドセルによって容易に測定することが出来るようになり、今後の成果が期待されるようになった。 4.モルタルやコンクリ-ト供試体の代りに登別産溶結凝灰岩(比重2.07平均静圧裂強度34Kg/cm^2)を直径25mm長さ50mmの円筒型試料を作製し、実験に供した。 5.破砕産物の粒度分析は主にロ-ジン・ラムラ-・ベネット線図によって行ったが、本実験の設定条件下での特徴は見出し得なかった。 6.岩石破砕エネルギについては、毎年軸トルクの実測結果から算出していたが、ここではフライホイ-ルの角速度変化に着目し、慣性エネルギから求める方法を見出し、従来の方法と比較検討した。その結果、両者の間には良い相関性があることが認められ、今後破砕エネルギの新しい測定方法として有効であると考えられる。ただし、角速度変化の測定には更に精度を高めることが要求される。
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