既存の分級法を超微粒子に適用しても有効な分級はできない。超微粒子の分級法は資源開発工学のみならず広く化学工業あるいは電子工業等の材料を取り扱う分野において重要であり、緊急に解決しなければならない技術の一つである。本研究は界面工学を利用した新しい分級法を確立するために行なったものであり、以下研究実施計画に沿って述べる。 1)湿式法によって球形に近いヘマタイトの超微粒子(メジアン径0.1-1.0μm)を調製して試料とした。 2)ヘマタイトのホモ疑集を利用した分級では、pH、電解質濃度、分級時間等の条件を変えておこなった結果、ヘマタイトの等電点付近の懸濁液pHで凝集が激しく、沈降セルの上下二層に細粒分と粗粒分が分配されていることがわかった。分級は15-30分で終了した。ヘテロ疑集を利用した分級では、ヘマタイトとヘテロ凝集する担体粒子としてガラスビ-ズ(粒径数+μm)を用い、pH3-6の範囲に設定することにより分級可能であることがわかった。分級時間は1分以内であり、細粒分がガラスビ-ズに捕捉・分離された。 3)分級成績の評価は粒度分布測定結果からおこなった。また凝集理論に基ずく計算結果と比較検討した。 4)本分級法はヘマタイトの界面特性に基ずく差を利用しているため、粒子の界面電気的性質が分級に著しく影響する。本研究では画像処理を用いた光学顕微鏡により電気泳動速度を追跡したため測定が極めて容易におこなえた。 5)以上の実験により、本方法が超微粒子に対する画期的な分級法であることが確かめられた。
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