地熱開発などと関連して、最近特に重要視されている岩石の熱物性のうち。最も測定例の少ない、高温下での比熱を、示差熱分析計で測定した。これと平行して、間接法で比熱を求めるため、高温下での岩石の熱伝導率と温度伝導率を測定した。熱伝導率と温度伝導率の測定は、細線加熱法によった。 示差熱分析計による測定では、昨年の問題点として再現性があげられた。この解決法として、空容器、試料容器、標準試料容器の重量が一定範囲以内のものにつき限定して使用した。また、試料の粒度は小さいものほど安定した結果が得られるようであった。このような測定技術上の改善を試みたところ、昨年より安定したベ-スラインが得られるようになった。しかし、個々の測定による、測定誤差が10%以上で、再現性の面では完全なものとはならなかった。 間接法に関しては、加熱線と岩石試料との接触に十分気を使い、岩石に溝を切り込んだところ、温度伝導率の測定で重要な、温度の対時間の立ち上がり部分が理論曲線にかなり一致した。熱伝導率と温度伝導率は600℃まで測定できている。これらの測定値から計算した比熱はほぼ妥当な値となったが、前述のように直接法との比較はできなかった。 岩石試料は、昨年の花崗岩の他、さらに砂岩、石炭(400℃まで)についても測定した。
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