平成元年度から2年度にかけて超音波検査法の分解能の向上を目的として研究を実施してきた。その結果、以下のことが明らかになった。 1.媒質の吸収特性が小さくて無視できる場合にはウェ-ブレット処理およびCDP重合により分解能が向上する。 2.CDP重合法でデ-タを取得することにより、媒質中の超音波伝播速度がわかる。 3.媒質の吸収特性が大きい場合には、その吸収特性を推定し任意の深度における基本波形を合成し、それを新たな基本波形としてウェ-ブレット処理を行うことにより分解能が向上する。 4.人体の擬似生体モデルからのデ-タにCDP重合、ウェ-ブレット処理、マイグレ-ションおよび合成音響インピ-ダンスログなどの処理を行うことにより、従来の超音波検査法に比べて顕著な分解能の向上と物性解釈が可能となる。 5.三次元デ-タ取得・処理を行うことにより、任意の方向の垂直断面、スライス断面と垂直断面とを組合せた表示が可能になり解釈が容易になる。 今後はデ-タ取得の効率化のための多チャンネルの測定装置と三次元のぼう大なデ-タボリュ-ムを会話形式で処理・解釈するためのシステムの開発が必要である。
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