研究概要 |
地熱エネルギ-資源開発の拡大を図るには,従来の熱水卓越型の貯留層の開発技術に加えて,高温岩体発電方式による開発が必要である。このためには,人工の貯留層を造成する必要があり,破砕面の造成手法と破砕面の位置・広がりを探査する評価技術の確立が不可欠である。 本研究では,坑井を利用した新しい物理探査法のシステム開発を目的としており,水槽を利用したモデル実験,大型電子計算機を利用した3次元モデル計算を経て,実際にパソコンを利用した野外実験を行い,地下亀裂面のリアルタイム評価システムを確立することができた。すなわち,秋田県雄勝郡秋の宮町の電力中央研究所の高温岩体実験場において水圧破砕用の注入井のケ-シングパイプから流電し,坑井周辺の地長面電位分布及び生産井内の深度方向の電位分布を連続的に計測した。 これらの探査法は,従来の物理探査法が発信器も受信器も地表に設置する地表ー地表間探査法であるのに対して、坑井ー地表間,坑井ー坑井間の探査法であり,高い分解能が期待できる。 平成元年度は,坑井周辺に30個の電位電極を設置し、本科研費で購入したハイブリッドレコ-ダ-及びパソコンを用いて,流電時の電位分布と自然電位を連続的に観測した。実験は約1ケ月間の水圧破砕実験と同期して,水圧破砕実験の前,破砕実験中及び終了後に繰り返し実施した。 その結果,注水量と見掛比抵抗の時間変化との間には,良好な相関があることが分り,したがって見掛比抵抗の変化率をモニタ-すれば,注入水のフロントを直接検出することが分った。よって注入水の進展状況の把握から地下亀裂面の走向及び傾斜方向を知ることが可能になった。 このように,地表ー坑井間探査法によりフラクチャ-の平面分布が分り、坑井ー坑井間探査法により,フラクチャ-の深度分布が分るため,水圧破砕実験中の地下亀裂面をリアルタイムにモニタ-できた。
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