本研究で試作した球形粒子と非球形粒子とを分離する装置は、粒子径が約110μmまでの粒子について適用できることが確認されていた(特許出願中、62ー196450)が、この粒子径よりさらに細かい粒子について、形状に基づいた分離を行うため、まず本装置の心臓とも言うべき円孔スクリ-ンの製作方法を改善した。本来エッチング法での開孔下限が100μmと言われているが、本研究ではこのスクリ-ン面に無電解ニッケルメッキを加えることにより、孔径約80μmでしかも均一な孔径のスクリ-ンを製作した。この新しいスクリ-ンの製作によって分離下限粒子径を80数μmまで下げることが可能となった。さらに、スクリ-ン表面積の大幅な増大により孔数を一挙に27万個に増やし、約10g/min(密度2.5g/cm^3)まで処理できるようになった。この処理量は研究室規模のサンプル製造には十分使用可能であると考えられる。 以下に研究実施計画に基づいて本研究結果を述べる。 1.エッチング法により孔径100μmのステンレス製スクリ-ンを製作し、さらに無電解ニッケルメッキを施すことにより、従来不可能であった80μmの均一な孔径をもつスクリ-ンを製作することができた。 2.スクリ-ン面積の増大により、従来の試験機の約5倍の処理(約10g/min)を行うことが可能となった。 3.スクリ-ンの回転速度、粒子吸引圧、帯電防止法、最適分離混合比等の諸分離条件の最適値を見出すことができた。 4.分離産物中の球形粒子含有率の増大化などにまだ検討の余地はあるが、繰り返し操作を行うことにより十分目的にかなう分離結果が得られることがわかった。 5.今後は本試験機を一体化して研究室用分離機として完成させたい。
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