研究概要 |
希土類元素の典型元素であるGdに注目しGd-Fe,Gd-B,Gd-Cの二元合金系強制固溶体の作製、結晶構造解析並びに磁気物性の測定を行い、希土類金属一遷移金属強制固溶体に関して以下の結果を明らかにした。 (1)Gd_×Fe_<100-×>合金 液体急冷法による超急冷によって、x>60の組成範囲ではGd-Fe強制固溶体、x≦60ではGd-Feアモルファスが形成される。強制固溶体におけるFe原子の固溶形態は、単純な置換型あるいは侵入型ではなく、Fe原子の周囲に大きな格子欠陥を伴う多原子置換型と考えられる。、又試料中には金属的、磁気的不均一性が存在する。 Gd-Fe強制固溶体及びアモルファス相の何れも、FeとGdの磁気モ-メントが反平行に配列したフェリ磁性体である。強制固溶体のキュ-リ-温度T_cはFe濃度の増加にともなって増加し、x=60付近でアモルファス相のT_cに漸近する。 (2)Gd_×B_<100-×>合金 液体急冷法による超急冷によって、x≧80の組成範囲で置換型強制固溶体、x<80ではアモルファス相が形成される。強制固溶体に於いては格子常数c,aの何れもxの増加と共に減少する。強制固溶相は強磁性でありキュ-リ-温度T_c、飽和磁化M_sともhcpGdとほぼ同じ値を示すが、アモルファス相ではランダム磁性の為にhcpGdと比較しM_s、T_cの減少が著しい。 (3)Gd_×C_<100-×>合金 Gd-C系では平衡状態に於いて、x≧95では侵入型固溶体(hcp)、更にx=66付近で侵入型化合物Gd_2C(fcc)が形成される。尚この間C濃度の増加にともなって体積膨張が認められる。またC濃度の増加と共に磁気モ-メントは減少し、Tcは増加する。Gd_2Cでの磁気モ-メントは7.38μ_B/GdでありT_cは352Kであった。又超急冷は強制固溶体の形成範囲を狭める。
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