希土類元素の典型元素であるGdに注目し、また前年度の研究成果に基ずいて(Gd_xFe_<1ーx>)_<80>Si_<12>B_8並びに(Tb_xFe_<1ーx>)_<80>Si_<12>B_8合金を作製し、結晶構造解析、磁気測定、及びメスバウア-効果の測定を行った。 (Gd_xFe_<1ーx>)_<80>Si_<12>B_8合金では、液体急冷法による超急冷によってX【greater than or equal】0.7の範囲でアモルファス相が形成された。アモルファスGd_<80>Si_<12>B_8合金は強磁性でそのキュリ-温度は約130Kであった。また同合金は磁気体積効果が大きく、30Kに於ける強制体積磁歪は約90*10^<ー1>Oe^<ー1>であり、また大きな高磁場磁化率が観測された。これらは、アモルファス構造に起因するGdーGd原子間距離の揺らぎ、並びにRKKY型のGdーGd間交換相互作用のために、GdーGd間交換相互作用が正・負に分布し、強磁性が不安定化し、磁気体積効果が増大したものと考えられる。Feの添加と共にTcは増加しX=0.7では約260Kとなり、磁気体積効果はそれと共に急速に減少する。GdーGd原子間に配位するFe原子はGdーFe間の強い反強磁性交換相互作用によって実効的に負のGdーGd間交換相互作用を正へと転化し、全体として強磁性(もしくはフェリ磁性)を安定化しキュ-リ-温度を上昇させる。Gdの磁気モ-メントは約7.5μ_BでhcpGdのそれとほぼ一致し、アモルファス化の効果は認められない。一方Feの磁気モ-メントはXの増加と共に減少し、メスバウア-効果によればX=0.7で平均内部磁場は約100kOe、磁気モ-メントは約0.7μ_Bへと低下し、また内部磁場が分布している。(Tb_xFe_<1ーx>)_<80>Si_<12>B_8合金では、0.7【less than or equal】X【less than or equal】1.0の範囲でアモルファス相が形成される。同合金系ではTbの大きな局所磁気異方性のために磁性はスピングラス型となる。その配列温度はXの減少と共に上昇しX=0.7で約150Kであった。
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