研究概要 |
希土類元素の典型元素であるGdに注目しGdーFe、GdーB,C、並びに(Gd,TbーFe)_<80>Si_<12>B_8等の強制固溶体の作製、並びに結晶構造解析、磁気物性の測定、及びメスバウア-効果による微視的電子状態の解明を行った。 (1)Gd_XFe_<1ーX>合金 X線解析によれば、X>0.6の組成範囲では強制固溶体、X≦0.6ではアモルファスが形成される。強制固溶体におけるFe原子の固溶形態は、単純な置換型あるいは侵入型ではなく、Fe原子の多原子置換型であり、Fe原子の周囲には、欠陥、歪が局在しアモルファス構造をとり、即ちhcpGdとGdFeアモルファスの二相状態に近い。 GdーFe強制固溶体及びアモルファス相の何れも、FeとGdの磁気モ-メントが反平行に配列したフェリ磁性体である。強制固溶体のキュ-リ-温度T_CはFe濃度の増加にともなって増加し、X=0.6付近でアモルファス相のT_Cに漸近する。 (2)Gd_XB_<1ーX>合金 X>__ー0.8の組成範囲で置換型強制固溶体、X<0.8ではアモルファス相が形成される。強制固溶体に於いては格子常数がcがXの増加と共に減少する。また強制固溶体相中には微視的アモルファス相が混在する。強制個溶体相は強磁性でありキュ-リ-温度T_C、飽和磁化M_SともhcpGdとほぼ同じ値を示すが、アモルファス相ではランダム磁性の為にhcpGdと比較しM_S、T_Cの減少が著しい。 (3)(Gd_XFe_<1ーX>)_<80>Si_<12>B_8合金 0.7<__ーX<__ー1.0の範囲でアモルファス相が形成される。 X=0.1ではランダム構造のために交換相互作用が正・負に分布し強磁性の不安定性と大きな磁気体積効果が生ずる。 Feの添加と共に負の相互作用は正へと転化し強磁性(フェリ磁性)が安定化される。メスバウア-効果によればFeの磁気モ-メントは約100kOeの内部磁場を持つ。(Td_<1ーX>Fe_X)_<80>Si_<12>B_8系ではアモルファス相が形成されるが局所巨大磁気異方性の為スピングラス型の磁性を示す。
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