研究概要 |
本研究は,新素材の複合材料を製作する上で重要な因子である,異種材料間での動的な漏れ挙動を実験的,理論的に解析するとともに,得られた結果を材料設計の分野に役立てることを目的として行なわれている。 実験初年度である平成元年度の研究においては,地上実験での基本的な漏れ挙動評価法および実験結果の解析法を確立することを主眼として三種類の実験を行い,以下の成果を得た。 (1)押出液滴法:動的な漏れ性及び漏れの履歴を評価するために,考案された独自の方法で液滴の成長,収縮過程を観察した。その結果,静的・動的な接触角の相違,固・液材料の組合せによる接触角の変化,界面張力を評価することができた。 (2)メニスコグラフ法:従来より行われている装置に改良を加え,動的漏れ性を評価した。従来の解析方法ではあまり考慮されていない因子,例えば液体のキャピラリ-数,粘性,漏れ速度に対する知見を得た。 (3)傾斜平板法:漏れ速度を評価するために行われた方法であり,毛細管を用いた従来の漏れ速度および接触角評価法に比較して,簡単な方法で精度よく漏れ挙動を評価することができた。 以上の実験を行うにあたり,ビデオカメラを用いた画像解析装置を製作し,漏れの進行状況を調べた。これらの装置および測定方法の健全性は,水と固体(アクリル,ガラス)との接触角,表面張力の測定結果から確認できた。本年度で,地上における実験方法および基本的なデ-タができたので,平成2年度において,微小重力下におけるデ-タを収集して重力による漏れ挙動の変化を測定することが充分可能になった。
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