研究概要 |
数種類の薄膜混晶半導体(GaーAsーP,ZuーSeーS,GaーAlーAs,GaーInーAlーAs)について透過電子顕微鏡法により詳しくその構造を調べた。以下の結果を得た。 1.GaーAsーP混晶中のわずかな濃度変動。 これは気相成長法によりGaP基板上に成長させた混晶であるが暗視野電顕法で濃度変動のためと考えられる縞模様を観察した。暗視野像強度と混晶濃度との関係を明らかにして、微少な濃度変動を検出するための最適な実験条件(膜厚、反射)を検討する事ができた。すなわち従来から良く知られた200反射による暗視野像法がなぜ便利か、あるいは他の反射(例えば220反射)による暗視野像強度も濃度変化に対する良い感受性を持つことが明らかにできた。これらの考察は混晶のスピノ-ダル分解による濃度変動を検出する際に有用と考えられる。 2.ZnーSeーS歪超格子の界面構造。 これはGaAs基板上にMOCVD法により成長させたIIーIV族混晶半導体で、ZnSとZnSeを交互に積層させた超格子である。ミスフィトの小さい混晶系に比べて明らかに異なったうねったような界面構造が観察できた。 3.LPE法によるGaーAlーAs混晶。 これは発光ダイオ-ドの素材で、GaとAlは良く混合しており顕著な濃度変動は観察できなかった。 4.MBE法によるGaーInーAlーAs混晶。 これは従来、スピノ-ダル分解が生ずる系として知られている。観察の結果、顕著な濃度変動は観察されていない。これが成長法によるものかあるいはさらに熱処理が必要なのかを検討している。 薄膜混晶の熱処理は構成原子の蒸発などによる試料の変化もあり、今後、多結晶のバルクの混晶を得て研究を進めたい。
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