研究課題/領域番号 |
01550511
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
沖 憲典 九州大学, 総合理工学研究科, 教授 (70037860)
|
研究分担者 |
板倉 賢 九州大学, 総合理工学研究科, 助手 (20203078)
松村 晶 九州大学, 総合理工学研究科, 助手 (60150520)
桑野 範之 九州大学, 総合理工学研究科, 助教授 (50038022)
|
キーワード | 希土類 / パラジウムセリウム合金 / 価数揺動 / 高密度近藤効果 / 内部圧力効果 / X線吸収端近傍構造 |
研究概要 |
本年度は主に、L-Pd_5CeとPdCeについてXANES(X線吸収端近傍構造)解析と低温域での電気抵抗測定による研究を行った。得られた結果を次にまとめる。 1.L-Pd_5Ceの格子定数は焼入温度とともに増大し、Ce価数は減少することが確かめられた。ただし、その依存性はこれまでに測定された値ほどは大きくないことがわかった。焼鈍温度とともにL-Pd_5Ce相の規則度は減少することは既に確かめている。不規則化に伴って、最隣接Ce-Ce原子対の数が増加し、かつ格子定数が増加する。前者は局所的なCe濃度(すなわち、化学的効果)、後者は内部圧力(物理的効果)に対応する。Ce価数の変化はどちらの効果によるものかを明らかにするために、Ce価数の圧力依存性の測定を予定している。 2.PdCe相の室温での電気抵抗は圧力とともに増大することを確かめた。特に、77kbar付近で大きく増加した。X線回折実験によって、この圧力範囲では格子定数が単調に減少するのみで、格子変態は起きないことを確かめた。XANESから求めたPdCeの常圧下のCe価数は約3.1であった。圧力により4f電子が放出され、Ce価数が増大し、その結果電気抵抗が増大したものと思われる。PdCeの常圧下での電気抵抗は、通常の合金と同様に温度の低下とともに減少する。ところが、その温度係数は圧力とともに減少し、30kbar付近で負数となって、顕著な高密度近藤効果を示すようになることを見いだした。特に、77kbar付近で温度係数の絶対値が(すなわち、電気抵抗の最大値)急激に増大した。これは室温での電気抵抗の圧力変化に対応している。圧力下における高密度近藤効果を明らかにするために、Ce価数の圧力依存性の測定を行う。
|