鉄鋼製造工程中の中間製品である銑鉄中の珪素濃度を最適組成に制御すること、また、銑鉄から除去された珪素を有効に利用することを目的に、小型実験を行なった。 まず、1350℃で黒鉛ルツボに溶解した炭素飽和、0.5%SiのFe-C-Si合金にCl_2ガスを吹込んだところ、FeとSiが同時に塩化されて目的を達成することができなかった。 次いで、ルツボの底付近にCl_2を吹込むように装置を改造し、同時に溶鉄表面にH_2を吹きつけるようにした。1350℃でCl_2とH_2を同時に作用させたところ、Siのみが塩化できるようになった。時間とともにSiの減少量を測定したところ、以下の事が明らかになった。 1)Cl_2とH_2の送入量の比、すなわち流量の比はCl_2-H_2爆鳴気を形成しないようなCl_2濃度の低いところでも、十分脱珪ができる。 2)反応速度は、見掛け上、Si濃度に関し一次反応速度式で整理できる。 3)鉄の歩留りは98%以上である。 4)Cl_2はいったんFeCl_2とSiCl_4を発生させ、この反応生成物は気体として溶鉄中を上昇し、溶鉄表面でH_2と接触し分圧の大きいFeCl_2のみが還元される。
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