研究概要 |
本研究は2年計画のものであり,前年度に続き,平成2年度の研究成果を述べる。まず,ノズルから噴出する自由噴流の理論解析を行った。この解析結果によると,気体の流れ場や境界壁との干渉により粒子相は分解,集積,交差などの出現が容易に起こり,完全な連続体とせず,粒子相に離散性をもたせる必要を提案した。また,二相流の自由噴流の流れ場は実験的にも検討された。実験では,貯気槽に直接取り付けられた直径2mmのストレ-ト・ノズルから噴出するジェット軸に沿う粒子速度をレ-ザ・ドップラ-・アネモメ-タによって計測した。また,実験とほぼ同一の条件下で,流れ場の数値解析を行った結果,ジェット軸に沿う粒子速度の数値結果は計測した粒子速度と良好な一致を示した。写真撮影されたノズル出口から噴出する噴流の幾何学的模様は計算結果と非常によく合うことを確認した。つぎに,水平に流れる空気と水滴群からなる二相流の自由噴流が平板に衝突する時の二相流の流れ場の数値解析を行った。その結果,粒子径に依存して,流れ場の挙動が変化することを明らかにした。粒子径が非常に小さいと粒子群はガスの流れに非常によい追従性を示し,平板表面に達したときほぼその速度がゼロになるので、完全弾性反発を許容しても,上流へ跳ね返らず平板上を半径方向に移動するので,伝熱効果が強化される。粒子径が大きくなると,慣性効果のために衝突後の粒子は上流へかなりの距離跳ね返され,表面付近から遠ざかる粒子群が増大し,伝熱効果が低下することを示した。 さらに,水ジェットの衝突と高温物体の表面付近の熱移動との相互作用が解析された。空気と水滴群からなる二相流の高温表面上の膜沸騰機構は水ジェットのそれと類似した挙動特性をもつことを示した。現在,その研究成果に基づいて,高温表面のスプレ-冷却機構の解析を行っている。近い将来,この熱解析結果をどこかの学会誌に投稿予定である。
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