研究概要 |
急冷凝固法及び粉末冶金法の適用により、実用金属中最も軽いマグネシウム合金材料の高性能化を図ることを目的として、ZK61合金CMg6%Znー0.8%Zr)に、Mn,Si,Ni,Ceなどを添加した合金について、噴霧ロ-ル法により急冷凝固フレ-クを作製し、固化成形してP/M材とし、その材料特性を評価した。得られたフレ-クは、1〜2mmの微細なデンドライトセル組織を示し、10^4〜10^5K/Sのお-ダ-の冷却速度と見積もられた。フレ-クの硬さは、Ce及びNi添加合金で高く、Mn添加合金で低かった。 急冷凝固フレ-クを冷間プレスの後、633Kで熱間押出しして中7mmのP/M間とした。P/M材について化学分析した結果、si,Mn,Niの添加によってZr含有量が0.05%以下に低下していた。これら元素の添加により溶融Mgに対するZrの容解限が低下するためと考えられた。P/M材の常温での引張特性では、Ce添加合金が530Mpaの0.2%耐力、554Mpの引張強さで最高の強度を示したが、伸びは約2%と低かった。Ni添加合金は耐力358MPa,引張強さ403MPa,伸び約5%で,Ce添加合金に次ぐ強度を示した。一方、Mn添加合金はZK61合金I/M材の強度を下回った。 573Kにおける引張特性では、P/M材はすべてI/M材より低い強度と高い伸びを示した。急冷凝固法によるP/M材では微細結晶粒組織となるため、常温での強度は向上したが、高温では粉界が変形に寄与するため低強度で高延性になると判断された。 Ce添加合金P/M材の常温引張強さから求れた比強度は295MPaで、高力アルミニウム合金ばかりでなくTiー6Alー4Vなどの高力4タン合金の比強度を上回るきわめて高い値であり、急冷凝固法をマグネシウム合金に適用することは特性向上に効果的であることが実証された。
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