研究概要 |
本研究はPbTiO_3ーTiO_2系セラミックスをPTCRサ-ミスタ-として確立することと,またPTCRの発現機構を明らかにすることを目的として行い以下の結果を得た。 1.試料の最適条件を確立した。組成はPbTiO_3ー(30〜80)mol%TiO_2であり,焼成はAr中で975℃〜1025℃,2時間行う。 2.サ-ミスタ-の発熱温度は試料のキュリ-温度(Tc)をSrTiO_3添加により,低下させ制御できる。例えば,30%SrTiO_3添加によりTcは約350℃となり,30%までのSrTiO_3添加量により発熱温度は490℃〜350℃で制御できる。 3.試料のPTCR効果は遷移金属酸化物(Cr_2O_3,CuO,NiO)の添加により増大し,また同時に安定性をも向上させることが判明した。 4.本系セラミックスのPTCR発現機構を調査した結果,強誘電性であるPbTiO_3の界面ばかりでなく,PbTiO_3と非強誘電体であるTiO_2との異相界面もPTCR特性の発生源になることが判明した。 これはPbTiO_3とTiO_2の結晶粒を粗大化させた試料において,白金微小電極を電着し,比抵抗温度特性を直接測定した結果得られたものである。また,測定雰囲気を空気中により真空中に変化させることによって,PTCR効果は消失し,再び空気中で測定すると発現することにより,PTCR特性の発現機構に酸素が重要な影響を及ぼしていることも明らかとなった。
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