3種類の合金試料、Ni^3Al、Ni^3Alー0.1BおよびNi^3Alー1Bー0.42Hf(質量%)を作製し、次に示す表面処理を施した後、大気圧下の純酸素中にて、等温酸化および繰り返し酸化試験を行った。また、表面処理後および酸化後の表面性状の組織学的調査を行い、表面処理が耐酸化性を向上させる機構を検討した。酸化温度はおもに1300Kである。表面処理は次の3種類である。(1)炭酸ガスレ-ザ-による試料の表面層のみの溶触急冷による、結晶粒の微細化、(2)1300K、(1.5〜3)x10^<-5>Torrの真空中または大気圧下の水素中での焼鈍、(3)イオンビ-ム技術を用いた表面処理。 レ-ザ-による表面処理では、レ-ザ-出力(490〜2000W)を上げるほど、保護性の高いアルミナ皮膜が形成され、耐酸化性が大きく向上した。この処理による表面層の結晶粒の微細化で、アルミの拡散が促進されたと考えられる。レ-ザ-出力が大きいほど、処理層が厚いので、アルミの供給がより速いと考えられた。低酸素分圧下における予備酸化でも、薄くて保護性の高いアルミン皮膜が形成されており、その後の酸化では酸化速度が非常に小さいことかがわかった。水素中の焼鈍も、その後の酸化速度を著しく下げる。イオンビ-ム技術を用いた表面処理では、MgまたはTaイオンの注入で酸化速度が下がった。この場合も、イオン注入によりアルミナ皮膜の形成が非常に促進された。薄いS1皮膜をつけXeイオンでミキシング層を形成した場合も酸化速度が非常に低下した。これも保護性の高いアルミナ皮膜の形成の結果である。さらに、IBED法により、厚さ0.5μmのCr^2Nあるいは厚さ1μmのS1^3N^4の皮膜をつけると、酸化速度を大きく下げることがわかった。
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