攪はん型ボ-ルミルをつかってTi-Mo系固溶体の生成過程をX線回折、干渉顕微鏡、DSC熱分析、化学分析、電子顕微鏡によって調査した。その結果は日本金属学会誌に投稿中である。高純度アルゴン気流中300rpmで力率計によって負荷をモニタ-しながら反応時間とともにサンプルリングした。Ti粉末(<43μm)に添加するMo粉末(<12μm)を0、14、20、50、100%とした、このうち詳しく調べた組成は14、20%Moである。 (1)鋼球は反応速度は大きいが不純元素(Fe)の混入が比較的大きい。ジルコニア球は摩滅が著しいので利用するのは不適当である。Ti球は反応速度は遅い(鋼の1/3〜1/4)が球の摩滅がなく、Ti合金のメカニカルアロイング(MA)に最適である。 (2)Moの添加量が多くなるほど固溶体化の時間は短くなる。20Moと50Moの所要時間はそれぞれ14Moの1/2、1/4である。 (3)合金化はβ単一がまず形成されてからα相の形成を見る。β相のMA材を時効するとω相は形成されず直接明瞭なα相の形成を見る。従ってMA材には溶製材のようにω脆化の危倶がない長所があることが分かった。これは実用上極めて有益な結果である。 (4)14Moより20Moの方がβ単相で経緯するMA時間は長い。β単相の粒子サイズは最小(〜4μm)となり、その後8μmまでに造粒されていき、表面の起伏状態も粗くなっていく。 (5)β単相の微細構造は10〜30nmのゾ-ンからなる超微粒子接合集合体でゾ-ン中では格子像が認められる。 (6)鋼球使用の場合Feの混入はMA時間と共にまたMo量と共に著しく多くなる。 (7)HIPによる成形は比較的容易であることが分かった。現在HIP処理したものを使って機械的性質の測定を確かめつつある。
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