研究概要 |
メカニカルアロイング(MA)による(a)TiーMo合金、(b)TiーTiN分散強化合金、(c)Ti基超塑性合金等の創製を、またMAの基礎的知見を得るために(d)無機化合物の生成能力、(e)液体急冷アモルファスNi_<75>B_7Si_<16>の機械的優乱による構造緩和、(f)TiーNi金属間化合物のアモルフフス化能、さらに(g)上記MA粉末(a,b)のHIPによる焼結成形性について調べた。この3年間の研究結果は博士論文「MAにおける相転移と微細構造に関する研究」(林梅栄)にまとめ、一部は論文に投稿中である。主な研究結果は: (1)MAで作製した「Ti及び合金粉末のHIP(1000気圧、1000℃、Pyrexガラスに真空封入)による焼結成形材によれば、MA20hr純Ti粉末のHIP材は引張強さ450MPa、伸び21%、硬さ261で溶製材純Tiの硬さ180に較べかなり高いこと。またTiー14MoではMA40hr以上のものでは大気圧・室温に戻すまでに音を発して脆性破砕を起こした。MA20hrの硬さはHV=420であり溶製材のそれ280と較べ著しく高い。ω相の析出を予想させるが、X線回析では脆化を促すω相は認められず、α+βであった。 (2)MAで作製したTiーTiN合金粉末はHIP処理によってTiNは消滅してTiーN固溶体となり、HIP焼結成形できたものはMA10hr(1.1wt%N)まで、その硬さは760にも達した。MA40hr(8wt%N)では硬さ1500に達し、純TiNの2000に迫る。(1)(2)からMA材におけるTi合金系では固化成形と延性低下が今後の最大の課題であることがわかった。 (3)Tiー9.5Vー2.5Moー3Al混合粉末を出発材として撹はん型Ti製ボ-ルミルを使ってMA処理を施したところ120hrでβ単一相となった。これはスチ-ル製強力型ボ-ルミルを使った場合の10倍以上の処理時間を要した。Alの存在が粉末のミルヘの固着を引きおこさせ合金化遅延を助長させ粉末の回収率の低下をきたした。現在HIP用シ-ル容器にTiを使用して固化成形の向上が期待できるか検討中である。
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