本研究補助金によって、設備・備品としてサイリスタ型温度調節器と真空排気ポンプを購入し、真空拡散接合装置の一部に充当し、装置の高性能化を図った。得られた成果は以下のとおりである。 1.表面窒化の影響:S20C鋼表面をガス軟窒化処理し、純Tiと拡散結合した。鋼表面にはFe_4N(γ')が生じたが、850℃および1000℃で接合した結果、接合界面にはTiNが生成し、接合はTiNによってなされることが判明した。、接合強さは接合温度850℃において4.9〜7.2Kgf/mm^2、1000℃において10.0〜12.5Kgf/mm^2を示し、一般的に低い接合強さとなった。 2.Ti-6Al-4V合金と鋼の接合:接合温度900℃において、S10C/Ti合金では35Kgf/mm^2の接合強さを呈し、S20C/Ti合金では35Kgf/mm^2の強度を示した。このように純TiにくらべてTi合金と炭素鋼との接合性が良好な理由として、Ti合金はα+βの2相組織であり、広い温度域にわたって塑性変形能に優れていることから、界面の密着性が向上し、真の接合面積が増大したことに起因するものと考えられる。以上の結果から、Ti-6Al-4V合金がインサ-ト金属として有効であることが判明した。 3.次年度の計画:表面窒化法いをイオン窒化法に変更し、TiCとTiNの接合強さに対する効果を明確にする。またTiN/鋼界面における組織や炭素の影響、ガス成分の影響を、分析電顕やESCA、AESを用いて明らかにする。
|