セラミックス-金属接合部の機械的特性評価を行うにあたって、まず接合部近傍に発生する熱応力特性を明らかにする必要がある。そこで本年度は接合部近傍に生じる熱応力特性を明らかにし、この熱応力を低減する方法について検討し以下の結果を得た。 1.基本的な知見を得るため、異種材料を接合した場合に生じる熱応力に関しての弾性理論解析を行った。そして熱応力に関するパラメ-タを整理し、このパラメ-タを用いて異種材料接合部に生じる熱応力を、定量的に評価できるようにした。その結果、熱応力は接合部の長さで無次元化すると相似則が成立すること、接合材のヤング率比が0.5程度で熱応力が最も大きくなることなどを含めて熱応力におよぼす各種要因の影響を明らかにすることが出来た。 2.実際の問題として窒化ケイ素とCy-Mo鋼をCu系ろう材を用いてろう付け接合した縦手を対象とし、接合部近傍に生じる熱応力の解析を行った。そして熱応力・残留応力におよぼすろう層の厚さおよび接合部形状の影響を明らかにした。さらにその結果を用いて接合部の熱応力を低減することのできる最適ろう層厚さおよび最適接合部形状を求め、従来の縦手んに比べて15%熱応力が減少することを理論的に明らかにした。 3.上記理論解析結果の妥当性を確認するため窒化ケイ素とCy-Mo鋼の接合実験を行った。従来の縦手では熱応力のみで窒化ケイ素に割れが発生していたが、本研究の理論解析から得た接合形状では割れは発生しにくく、熱応力が実際に低減されていることが確認出来た。
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