研究概要 |
1.4ーピリドン類の合成と確認 前年度に引き続き、図1でn=10,12のアルキル鎖を有する化合物を合成し、元素分析,IR,NMRスペクトル,融点測定を行って合成した化合物の構造と純度を確認した。 2.抽出平衡の検討 (1)合成した4ーピリドン類の酸解離定数(Ka)及び分配定数(K_D)を求めた。前年度の結果をも考慮すると、Kaはアルキル鎖の長さを変えても変らないが、K_Dはアルキル鎖の長さと共に増大することがわかった。 (2)レアメタルとしてIn,Pr,Eu,Ybを選び、本年度及び前年度合成した4ーピリドン類を用いて抽出実験を行い、錯体の結合比、半抽出pH,分配定数(K_<DC>),抽出定数(Kex),安定度定数(β_3)を求めた。いずれの金属も安定な1:3(金属:配位子)錯体としてジクロルエタンに容易かつ定量的に抽出された。希土類錯体の抽出定数はlog Kexとしてー8.4〜ー12.1程度、logβ_3は20.6〜22.5程度であった。 3.抽出速度の検討 上記金属の4ーピリドン錯体の抽出速度はアルキル鎖が長くなるにつれて僅かづつ遅くなったが、いずれの錯体も数分〜数十分の振り混ぜで定量的に抽出された。抽出の速度論的な詳細な検討は本研究期間内に行えなかったので、今後引き続き検討したいと考えている。 以上の結果、及び前年度の結果より、本研究でとりあげた4ーピリドン系化合物は、金属に対する選択性は乏しいものの、上述の4元素はもとより、いわゆる硬い酸に分類される金属(例えば、Al,Ga,Ti,Zrなど)の抽出剤としては有用なことがわかった。本研究期間内に検討できなかったこれらの金属の抽出については引続き検討する積りである。
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