研究概要 |
(1)ド-パミン(以下DA)とその代謝産物3,4ージヒドロキシフェニル酢酸(以下DOPAC)の既知濃度(DA50〜200nM,DOPAC5〜20μM)の脳細胞外模擬液(ただしpH6・65に緩衝)から得たランダムパルスボルタモグラムパタ-ンを線型学習機械に入力してDA,DOPACそれぞれの識別定量の重みベクトルを決定した。 (2)in vitroで,DA,DOPACの濃度を,それぞれ相手と独立に,相関係数0.98と0.97程度で推定できることを明らかにした。 (3)ウイスタラット線条体中心部でのin vivo実験により,脳内液には緩衝作用がなく,水素イオンが発生するカテコ-ル,インド-ル類の酸化ピ-クは濃度が大きいほど正の電位に移動することがわかった。故に,ピ-ク電位の移動がない緩衝溶液を用いた線形学習は有効でなく,将来は非線形の多層ニュ-ラルネットワ-クを導入する必要がある。当面,本分別法の定量原理のin vivoでの有効性を確かめるため,PH6.65の緩衝溶液にDA,DOPACを溶かした液を電極の近傍に注入して,緩衝条件の下で電解酸化波を観測することを試みた。 (4)緩衝溶液に溶かしたDAおよびDOPACを局所注入して得たランダムパルスボルタモグラムパタ-ンはin vitroで得られたDAおよびDOPACのそれぞれのパタ-ンとよく一致することを確かめた。 (5)やや離れた場所に,DA注入(ノミフェンシン投与の有無)およびDOPAC注入(γプチロラクトン,およびパ-ジリン投与の有無を行ってDA,DOPACの測定を試み、代謝的、薬理的にほぼ合理的と思われる動態を観測することができた。
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