研究概要 |
(1)最終年度は,フロ-センサ-の超小型化に必要な細管内流れに伴う溶質分散特性の解明を目的に,数値解析法の改良による理論的研究,並びに顕微鏡写真撮影と非撹乱式ミクロ吸光検出法の併用による実験的研究の両面から基礎的に検討し,装置設計の基本となる相関式を得た。 (2)S^4ーFIAシステムに基づくフロ-センシング法(FSM)の研究開発は研究代表者が米国K.K.Stewart教授と共に開発したFIA装置の小型・高精度化システムで,高分子量生化学物質のFIA定量に適した特性を有するが,本研究では排ガス中全硫黄酸化物や環境水中硫酸イオン定量でも好結果を得た。S^4では,細く(smallーbore),短い(short)反応管を用い,ごく遅い(slow)流速で流し,小さい(smallーvoume)容量のフロ-セルを用いて検出したときに理論的に感度が最大になる。そのため従来のFIAにない多くの利点をもち,低分子量成分から高分子量成分まで広く適用可能で,しかも実用性の高いインライン検出,オンライン応答機能を有するフロ-式化学センサ-開発が可能となった。検出器の小型・高性能化には,レ-ザ-,光ファイバ-,フォトダイオ-ド等の最先端オプトエレクトロニクス材料・技術を駆使し,製造・排水処理プロセス等でのインライン水質計測とオンライン制御や,効率的な時・空間的(四次元的)監視システムの構築を展望する必要がある。 (3)本研究の流通式センサ-(CSS)は,バイオテクノロジ-の急激な進展に伴い急増しつつあるバイオプロダクトの分析計測ニ-ズに貴重な研究成果をもたらす。クラウンエ-テルを用いK^+をイオン会合体として溶媒抽出することより,同軸多孔細管を用いた液膜抽出法によるフロ-式カリウムセンサ-の開発と生体・環境試料の応用にも成功した。これらの分析化学技術上の特性は,今後必要とされる環境,生体や複合材料,物質などを対象とした総合診断化学構築の重要な視点となろう。
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