研究概要 |
中国、白雲鉱山に大量に産出するバストネサイト(LnCO_3F,Ln:Ce,La)とモナザイト(LnPO_4)の混合鉱は選鉱分離できず高温濃流酸処理が行われている。新しい処理法の開発を目指す本アルカリ処理法ではバストネサイトの処理条件の発見が鍵である。本研究では溶融NaOH処理によるセリウムコンセントレ-トと粗塩化希土混合物を調製する反応条件の解明と生成物の収率、組成、粒子形状の関連を明らかにした。 NaOHとバストネサイト(Ln_2O_3 68〜72%)を重量比(アルカリ比)0.5〜10,350〜500℃、空気中で5〜180分反応させた。その結果、350℃以上、時間30分、アルカリ比2以上において、バストネサイト中のフッ素は98%以上除去でき、同時にCe(III)の98%以上をCe(IV)に酸化できた。しかし、実操業で連続プロセスを採用するためには反応物の流動性を保つ必要があり、そのためにはアルカリ比は5以上が適当であった。反応物中の過剰のNaOHや生成物であるNaFやNa_2CO_3を水洗除去し希土類酸化物を得た。これを0.5〜3MHClで60℃10〜180分間浸出し、残渣であるセリウムコンセントレ-トと塩化希土混合溶液を得た。0.5〜1MHClで浸出したときのセリウムコンセントレ-ト収率は約55%、その中のCeO_2含有率は70〜72%に達した。またその粒子径は比較的均一で約0.1μmであった。生成した粗塩化希土の組成はCe,La,Nd,およびPrの4成分でCeCl_313、LaCL_365、NdCl_316、PrCl_36wt%であった。HCl浸出条件によってCeCl_3をほぼOにすることもできるが、この場合にはセリウムコンセントレ-ト収率は増大する一方、CeCl_2含有量が約52%に低下した。
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