研究概要 |
本年度は(1)セリウムコンセントレ-トの形状に及ぼす処理条件と酸浸出の影響,(2)混合溶融アルカリによる希土類鉱石の分解機構について研究し、以下の結論を得た。 (1)バストネサイト、LnFCO_3(Ln:希土類金属)を溶融NaOH中で酸素酸化して得られる酸化生成物を希塩酸で抽出するとCeやPrに比べて、La,Na、が高率で溶出した。従って、塩酸抽出により、浸出残渣(セリウムコンセントレ-ト)中のCeO_2含有率を向上できることがわかった。350℃で溶融NaOH処理したものは特に選択性を高く、センリウムコンセントレ-ト中のCeO_2含有率60%以上に達し、商品価値を付与できた。また、粒子径はO.1μm程度で、一部凝集しているが、粗粒は存在しなかったので、ガラス研摩剤として利用しうる特性をもつことがわかった。さらに塩酸抽出を濃縮し、LaCl_3、NdCl_3を主成分とするCeを含まない塩化希土混合物を得た。 (2)バストネサイトはKOHーNaOH混合溶融アルカリ中できわめて迅速に分解し、まず希土類水酸化物Ln(OH)_3を生成する。この際、バストネサイト中のF^-とCO_3^<2->は溶融アルカリ中に固定された。この水酸化は空気中の酸素により容易に酸化され、La、Nd、Pr等を固溶したCeO_2となる。かきまぜ速度や酸素分圧が酸化速度に大きく影響することから、この酸化反応では、溶融アリカリ中への酸素の溶解過程が律速であることがわかった。また、Ce(III)の減少とともに、反応界面の面積が縮小し、律速過程は酸化生成物膜内の酸素の拡散段階へ移行することを推定した。
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