湿式合成水酸化アパタイト沈澱のもつ優れた粉体特性、そのフィルタ-ケ-キ成形体の有する極めて高い焼結活性、ならびに熱間等方圧焼結法の非常に優れた高密度達成能力に着目し、これら3者の組み合わせることにより焼結温度の著しい低温化を達成し、高性能生体複合材料の開発に応用するとともに、複合材料開発のための指針を確立することを目的に研究を進めた。 平成元年度は以下の点に特に重点を置き検討を行った。1.水酸化アパタイトの合成法、2.それにジルコニア微粒子を均一に分散させた沈澱の合成法、3.粒子混合系におけるフィルタ-ケ-キ成形法、4.常圧焼結体の硬度測定。 水酸化アパタイトの合成ではその組成のコントロ-ルを行ううえで興味ある現象を見いだし、その成果をまとめた論文は別記のとおり受理されている。平成元年度の経費で購入した微小硬度試験器による硬度測定では、常圧焼結体の硬度が組成により殆ど影響を受けないことを明らかにした。さらに成形体について予備的に熱間等方圧焼結をおこない、処理温度1000℃においてジルコニア分散相が正方晶を保っていることを確認するとともに、焼結体の靭性および強度が向上することを確認した。
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