1.フッ素存在下のHF溶液におけるインタ-カレ-ション反応のメカニズムを解明した。フッ化物を溶解したHF溶液にグラファイトを浸漬し、この系にフッ素ガスをフロ-すると、まず graphite bifluoride CxHF_2が生成する。HF溶液中で[MFy^ー]〉〉HF_<2ー>の条件が満足されるなら、CxHF_2のHF_<2ー>はMFyによって置換されフッ化物ーグラファイト層間化合物CxMFyが生成することが明らかにされた。この新規合成法を用いて、CxSnFy、CxPbFy、CxBF_4、CxCrFy、CxRhFy等の新しい層間化合物を合成した。CxBF_4の場合は、HF溶液中のBF_<4ー>の濃度を制御することにより、ステ-ジ数をコントロ-ルすることができることも明らかにされた。 2.EXAFSを用いて第2ステ-ジC_<30>SnF_5の面内構造を決定した。また、 ^<119>Snのメスバウア-スペクトルはインタ-カレ-ト種の酸化状態が+IVであることを示した。さらに、室温と4.2Kにおけるスペクトルを比較すると、4.2Kでのスペクトルはブロ-ドで非対称となり、何らかの二次元相転移と四極子分裂を示唆している。 3.CxSnFyについての詳細なX線構造解析を実験するとともに、 ^<119>Snのメスバウア-スペクトルの温度変化を測定した。その結果、ピ-クの半値幅が160〜140Kで不連続に変化することが明らかにされた。この現象は、グラファイト層間にあるSnFy層の二次元相転移を示唆している。 4.無水フッ化水素溶液系を用いてステ-ジ2のCxCrFyとCxRhFyを合成することができた。その光反射スペクトルの測定から電荷移動度f、フェルミエネルギ-E_Fを評価した。C_<21>CrF_<4.5>、C_<28>RhF_<3.3>(HF_2)_<1.3>のf、E_Fはそれぞれ0.50と0.59、0.9eVと0.89eVであった。
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