研究概要 |
1.コイル状カ-ボンファイバ-の合成条件を下記の様に明らかにした。 (1)ファイバ-が効率良くコイル状に巻くためには,不純物として微量のH_2Sが必要である。その最適濃度は0.06〜0.09vol%であり,0.1%以上になるとコイル化を阻害した。この他PCl_3等の不純物もコイル化に有効である。アセチレン中のアセトンは,コイル化にほとんど影響しない。 (2)コイル状ファイバ-の収率は,最適不純物量で,反応温度700℃の時,最高値30〜50%を示した。 (3)コイルの長さは,反応開始後1時間位までは,反応時間にほぼ比例して長くなり,その後一定値を示す。コイル径は反応時間にほとんど影響されない。 (4)アセチレン流量は,80sccm以内では,コイルの長さおよび径にほとんど影響しないが,それ以上になるとコイルの長さは短くなる。 2.コイル状カ-ボンファイバ-の成長メカニズムについて考察を行った。 カ-ボンファイバ-がコイル状に巻くためにはNi触媒が不可欠である。Ni触媒はコイル先端に明らかな結晶面を持つ単結晶状で存在する。この各結晶面でのコイルの成長速度に異方性があるため,成長速度の早い面の方が外側となりコイル状に成長するものと考えられる。成長時にはNi触媒表面はNiーCー(S)の凝液体状態にあり,コイルは先端ー凝VLS機構により成長するものと考えられる。 3.コイル状のSiCおよびTiCファイバ-の合成を行った。 コイル状カ-ボンファイバ-を気相シリコナイジングすることによりコイル状SiCファイバ-を合成した。また,麦がら,スギナなどのSiO_2含有量の多い有機プリカ-サ-を原料として,1300〜1400℃でCCl_4+H_2雰囲気中で反応させることにより,直線状SiCウイスカ-の他,少量のコイル状SiCファイバ-が得られることを見出した。
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