研究概要 |
本年度の研究結果は次の3つに大別される (I)シリカガラスへのイオン注入による点欠陥生成 化学的に活性な非希ガスイオンであるSi^+とP^+を160KeVで注入し,酸素と反応させることにより,酸素欠乏型点欠陥の生成を試みた。注入イオン濃度とほぼ同じオ-ダ-の高濃度の【.triーsubstituted left.】SiーSi【.triーsubstitute right.】結合と,それよりも1桁低い濃度の酸素空孔が生成することを明らかにした。Si^+を6×10^<16>ions/cm^2以上注入した試料中には【.triーsubstituted left.】SiーSiーSi【.triーsubstitute right.】という凝集型酸素欠乏欠陥の生成が示唆された。【.triーsubstituted left.】SiーSi【.triーsubstituted right.】と酸素空孔については吸収/発光スペクトルの結果より零フォノン線は観測されず,電子ー格子相互作用が強くPHBの生成には不適であると結論した。 (II)ハライドガラス中へのF中心の生成の試み 易原子価可変成分を含まないCaF_2ーBaF_2ーAlF_3ガラスを対象にして,金属アルミニウム粉末などをバッチに添加するなどしてフッ素欠乏欠陥の生成を検討した。Ce^<3+>をド-プしておき,UV光照射により光電子をF欠乏中心にトラップさせることにより検出を試みたが,明瞭な結論は得られなかった。 (III)CaOーAl_2O_3ーSiO_2系環元ガラスのフォトクロミズムとPHBの検討 前年度,2成分系CaOーAl_2O_3ガラスを強還元雰囲気で溶融すると酸素欠乏欠陥が生成し,UV光照射でフォトクロミズムを示すことを見出した。そこでガラスの調製がより容易な3成分系への拡張を試みた。SiO_2含量に関係なく同様のフォトクロミズムが観測されたので網目形成イオンの種類は現象発現と関係しないことが裏付けられた。Arレ-ザ光(5145A)を4,2Kで照射したがホ-ルは生成せず吸収帯そのもののブリ-チが観測された。
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