1.H_2SO_4、NaNO_3、KMnO_4を用いるHummers法、H_2SO_4、HNO_3、KCLO_3を用いるStaudenmeier法、発煙硝酸とKCLO_3を用いるBrodie法により、酸化グラファイトを合成し、室温〜200℃の範囲で、F_2ガスおよびVF_5+F_2、SbF_5+F_2の混合ガスを用いてフッ素化を行った。Hummers法、Staudenmeier法、Brodie法の順に結晶性の高い酸化グラファイトが得られ、最適フッ素化温度は50℃から100℃へと高くなった。完全にフッ素化することは困難であり、粒子内部に酸素が残ったが、X線回折から求められるC軸方向の周期距離は8.5〜9A^・となり(C_2F)_nの値と同じになった。またDebyeーScherrer法から求めたa軸方向の格子定数は酸化グラファイトの2.48A^・から2.50A^・へ近づき、酸化グラファイトの構造が第2ステ-ジ型化合物の(C_2F)_nと同じであるとする我々のモデルに一致した。IRスペクトルではフッ素化の進行に伴い1200cm^<-1>に→CーF結合を示す強い吸収が現れ、X線回折の結果と一致した。 2.酸化グラファイトとそのフッ素化物の電気化学的挙動をプロピレンカ-ボネ-ト溶液中で、Li負極を用いて調べた。急激な酸化を行うHummers法による酸化グラファイトはフッ素化の進行につれて容量が低下し、電位平坦性も悪くなったが、穏やかに酸化を行うStaudenmeier法によって合成した酸化グラファイトとそのフッ素化物の方が容量、電位平坦性ともに良好であった。 3.V_2O_5やWO_3などの酸化物をフッ素化して得られる酸化フッ化物やフッ素、フッ化物の層間化合物を合成し、上記化合物と比較検討した結果、酸化グラファイトは共有結合性化合物ではあるが、フッ化グラファイトほど強い共有性はなく、炭素層も幾分平面に近いと考えられる。
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