酸化物系層状物質へのインタ-カレ-ションと機能発現

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01550606
• 研究機関: 早稲田大学
• 研究代表者: 黒田 一幸 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90130872)
• 研究分担者: 菅原 義之 早稲田大学, 理工学部, 助手 (50196698) ; 加藤 忠蔵 早稲田大学, 理工学部, 教授 (50063178)
• キーワード: インタ-カレ-ション / 層状物質 / 層間化合物 / 固体化学 / 包接化合物 / 層状ケイ酸塩 / 粘土鉱物

研究概要

種々の層状物質を用いてインタ-カレ-ション反応の可否を調べるとともに、インタ-カレ-ション化合物の合成手法の確立を重点に以下の研究を行った。以下に今年度得られた成果について概要を述べる。
1.層状アルミノケイ酸塩として、モンモリロナイトを中心とするスメクタイト族粘土鉱物を用い、そのインタ-カレ-ションがゲスト物質との固体間反応によっても可能であることを見い出した。これは従来の液相あるいは気相でゲスト分子を反応させる方法とは全く異なる反応系であり、従来法では不可能とされてきたゲスト物質のインタ-カレ-ションの可能性もあり、層間における分子配列の問題も含めてさらに検討を続ける。
2.層序ポリケイ酸塩を用いた系ではアクリルアミドのインタ-カレ-ションに成功し、さらにその層間重合も可能であることを初めて明らかにした。また層を形成するケイ酸塩層が一層である時に、ゲスト有機物質の選択によって層骨格の三次元化が生じ、有機分子のサイズに応じた細孔をもつ複合体が得られることが分かった。これを焼成して新しいシリカ多孔体の合成に成功した。
3.5酸化バナジウム水和物を用いた系では、ビオロゲンをゲスト分子に選び、イオン交換並びに電気化学的な手法によりインタ-カレ-ション反応が生じることを明らかにした。
4.ハイドロタルサイト類の様な層状複水酸化物の層間に陰イオン性ゲスト分子のインタ-カレ-ションを調べる目的で、イオンサイズの大きい陰イオン性ポルフィリンを選択し、その反応性を調べた。XRD等の結果、層間化合物の生成が確認でき新たな包接現象を明らかにした。

研究成果

• [文献書誌] Makoto OGAWA,Kazuyuki KURODA,Chuzo KATO: "Preparation of Montmorillonite-Organic Intercalation Compounds by Solid-Solid Reactions" Chemistry Letters. 1659-1662 (1989)
• [文献書誌] Tsuneo YANAGISAWA,Chika YOKOYAMA,Kazuyuki KURODA,Chuzo KATO: "Synthesis of Layered Polysilicic Acid-Acrylamide Intercalation Compounds and Polymerization in the Interlayer Spaces" Bulletin of Chemical Society of Japan. 63. 47-50 (1990)
• [文献書誌] Makoto OGAWA,Tokuhiko HANDA,Kazuyuki KURODA,Chuzo KATO: "Formation of Organoammonium-Montmorillonites by Solid-Solid Reactions" Chemistry Letters. 71-74 (1990)
• [文献書誌] In Yong Park,Kazuyuki Kuroda,Chuzo Kato: "Preparation of a Layered Double Hydroxid-Porphyrin Intercalation Compound" Chemistry Letters. 2057-2058 (1989)
• [文献書誌] Ikuo KATO,Teruyuki NAKATO,Kazuyuki KURODA,Chuzo KATO: "Chemical and Electrochemical Intercalation of a Viologen into V_2O_5 Xerogel Films" Colloids and Surfaces. (1990)
• [文献書誌] Tsuneo YANAGISAWA,Toshio SHIMIZU,Kazuyuki KURODA,Chuzo KATO: "The Preparation of Alkyltrimethylammonium-Kanemite Complexes and Their Conversion to Microporous Materials" Bulletin of the Chemical Society of Japan. 63. (1990)