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1989 年度 実績報告書

高機能性金属ポルフィリンの合成とこれを用いる光水素発生反応

研究課題

研究課題/領域番号 01550614
研究機関東京工業大学

研究代表者

大倉 一郎  東京工業大学, 工学部, 教授 (90089821)

キーワードビオロ-ゲン結合型ポルフィリン / 分子内電子移動 / ヒドロゲナ-ゼ
研究概要

均一系による光水素発生反応では、電子供与体-光増感剤-電子伝達体-媒体よりなる4成分系がおもに用いられている。本研究者らは、すでに4成分系において、水溶性のポルフィリンが光増感剤として優れていること、電子伝達体としてはメチルビオロ-ゲンなどの各種ビピリジニウム塩が使用できること、酵素ヒドロゲナ-ゼが触媒として優れていることを明らかにしてきた。昨年度までの研究では、電子移動過程を効率よく行うために、光増感剤であるポルフィリンと電子伝達系であるビオロ-ゲンが結合した一連の化合物を合成し、光水素発生反応を検討した。その結果、水素発生速度に、特異なメチレン鎖長依存性が認められた。本年度は、ビオロ-ゲン結合型ポルフィリンの構造と機能との関係を詳しく検討するために、一連の新規化合物を合成した。これらの構造と性質を主に'H-NMRによりしらべた。また、新規ビオロ-ゲン結合型ポルフィリンの分子内電子移動反応を試みた。'H-NMRスペクトルから、溶媒中におけるビオロ-ゲン結合型ポルフィリンのコンフォ-メ-ションはメチレン鎖長にあまり依存せず、メチレン鎖長が短くなるほどビオロ-ゲンとポルフィリンとの空間的距離は短くなり、ビオロ-ゲンとポルフィリンとの間には、強い電子的相互作用がないことがわかった。メチレン鎖長が短くなるほどビオロ-ゲンによりポルフィリンの蛍光が効率よく消光され、溶媒をアセトニトリルとした場合、蛍光の減衰は2成分であった。長寿命成分の蛍光寿命はビオロ-ゲンの結合していないポルフィリンとほぼ同一であり、これは分子内電子移動反応によるものではなく、短寿命成分が、分子内電子移動反応に基づくものであることがわかった。分子内電子移動速度定数はメチレン鎖長が短かくなるほど大きくなる傾向を示した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Y.Kinumi,I.Okura: "Highly active water-soluble zinc porphyrins for photoredox ractions" Inorg.Chim.Acta. 153. 77-88 (1989)

  • [文献書誌] I.Okura,Y.Kinumi,T.Nishisaka: "Photoinduced hydrogen evolution with viologen-linked water-soluble zinc porphyring in a micellar system" Inorg.Chim.Acta. 156. 169-171 (1989)

  • [文献書誌] S.Aono,M.Ono,I.Okura: "Substrate specificity and stereoselectivity of epoxidation of alkenes with methylosinus trichosporium(OB3b)" J.Mol.Catal.49. 65-67 (1989)

  • [文献書誌] S.Noda ,S.Aono,I.Okura: "Photoinduced electron transfer with Fe_4-S_4(SC_6F_5)_4" J.Mol.Catal.50. 119-122 (1989)

  • [文献書誌] K.Otsuka,S.Aono,I.Okura: "Regeneration of NADH and ketone hydrogenation by hydrogen with combination of hydrogenase and alcohol dehydrogenase" J.Mol.Catal.51. 35-39 (1989)

  • [文献書誌] Y.Yamamoto,S.Noda,N.Nanai,I.Okura,Y.Inoue: "H-NNR conformational study of viologen-linked porphyrins" Bull.Chem.Soc.Jpn.62. 2152-2158 (1989)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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