本研究では、まず樹脂レプリカ法に適した樹脂モノマ-の再検討した。予備研究の段階で選定したフェノ-ルノボラック系エポキシ樹脂である商品名アラルダイト(XPY-307)をはじめ、他に3種の樹脂について、粘度、耐酸性(HC1、HF、H_2SO_4)、試料とのぬれ性、を検討したところ、やはりアラルダイトが最も適していた。この樹脂をレプリカ剤に用いて得られた結果と進捗状況を、交付申請書に沿って以下に列記する。 1.アノ-ド処理アルミニウムの細孔内構造の視覚化 従来の酸化皮膜レプリカ法と比較して、細孔の微細構造の観察には本法が適していることを確認した。目下、細孔内に樹脂を充鎮・重合させた後、表面から順次研磨してゆき、その都度表面近傍のレプリカ像を撮り、細孔の入り口から先端に到る立体構造を明らかにする実験をしている。 2.多孔質ガラスの細孔内構造の視覚化 多孔質ガラスについては、目下試料を作成中であるが、市販のガラスフィルタ-(G1〜G4)の細孔構造については、明瞭なレプリカ像を得た。この成果に基づきシリカ触媒担体の細孔構造観察を試み成功した。その成果は、近々J.Catalysis誌に記載される。 3.交付申請書には記載しなかったが、平均細孔径が30nmの多孔質ヒドロキシアパタイトの細孔構造のレプリケ-ションに成功し、論文を執筆中である。
|