研究課題/領域番号 |
01550628
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中村 博 九州大学, 工学部, 助教授 (00117194)
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研究分担者 |
米村 弘明 九州大学, 工学部, 助手 (40220769)
臼井 聡 九州大学, 工学部, 助手 (80185008)
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キーワード | 界面反応 / 光誘起電子移動反応 / ポルフィリン / ビオロ-ゲン / 磁場効果 |
研究概要 |
本年度は水-有機異相界面として各種の二分子膜等の分子集合体を用い、界面に担持されたカチオン性両親媒性ポルフィリンから種々の電荷を持つビオロ-ゲン(電子受容体)へのレ-ザ-による光誘起電子移動反応を、界面の電荷と電子受容体の電荷を変化させて、その電子移動反応に対する効果を検討した。 まず、正電荷を持つカチオン性二分子膜上で反応を行った結果、逆電子移動速度は負電荷を持つビオロ-ゲンが速く、正の電荷を持つものほど遅くなり、電荷分離状態の寿命は長くなった。これは、膜の表面電荷とビオロ-ゲン還元体の静電的な相互作用によるものと考えられる。また、負の電荷を持つビオロ-ゲンの場合は外部磁場の印加により還元体の生成が増加した。これはポルフィリンとビオロ-ゲン還元体が生成初期においてスピン間相互作用を持つ距離に暫く留まっていることによると考えられる。一方、正電荷を持つビオロ-ゲンの場合は静電反発により速やかに解離するため外部磁場の影響は受けない。 これとは逆に、アニオン性二分子膜上で検討した結果、正負いづれのビオロ-ゲンを用いても光誘起電子移動速度は速くなった。このことは、負の電荷を持つビオロ-ゲンでも分子の有効電荷が正の部位によることを示す。生成したビオロ-ゲン還元体の逆電子移動過程には2成分存在し、1つは拡散過程を含まず、生成したラジカル対がある一定の距離に留まっているものと考えられる。他の1つはバルクへ拡散した後、逆電子移動していることが確かめられた。これらのことは、外部磁場の印加により前者の逆電子移動速度が大きく抑制され、ラジカル間の相互作用が大きいことから支持される。 以上のように水-有機異相界面を用いることにより光誘起電子移動が制御できる事がわかった。
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