研究概要 |
1.Nーメチルピロ-ルをヘキサン中,TMEDAの存在下,ブチルリチウムと反応させて2,5ージリチオ体とした後,さらに二酸化炭素と反応させてNーメチルピロ-ルー2,5ージカルボン酸を合成した。モノカルボン酸を除くため,エタノ-ルより再結晶して精製した。 2.Nーメチルピロ-ルー2,5ージカルボン酸を,フラン,チオフエンのジカルボン酸の場合と同様にハステロイ製オ-トクレ-ブ中,無水フッ酸の存在下,四フッ化硫黄でフッ素化したが,反応条件をいろいろ変えてもすべて重合体と推定される黒褐色樹脂状物を与えるのみであった。次に四フッ化硫黄のみを用い,反応温度,時間を変え検討した結果,100℃,72時間反応させるとNーメチルー2ートリフルオロメチルピロ-ルー5ーカルボン酸フロリドまでフッ素化することができた。しかしこれ以上フッ素化を進めることができず,このトリフルオロメチルピロ-ルカルボン酸フロリドも不安定であったため,トリフルオロメチル基をもつピロ-ルのアセチレン誘導体の合成は断念した。 3.平成元年度に合成したいくつかのトリフルオロメチル基を含むフラン,チオフエン置換アセチレンについて,六塩化タングステンーテトラフエニルスズ触媒系で重合を行い,2,5ービス(トリフルオロメチル)ー3ーエチニルフラン及びチオフエンがもっとも重合性の良いこと,及びこれらのポリアセチレンは通常の有機溶媒には不溶だが,Pービス(トリフルオロメチル)ベンゼンのようなフッ素系溶媒には可溶であることなどが明らかとなった。この溶液からキャスト法で膜をつくり,気体透過性についても検討した。
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