末端オレフィンの2位の炭素を酸化レメチルケトン体に変換する手法は、Wacker法で代表される周知の反応であるが、末端位(Cー1位炭素)を選択的に酸化レアルデヒド体を得る確立された方法はこれまでにない。本研究では、金属策体触媒と分子状酸素を用い末端オレフィンをアルデヒド体に選択的に変換する方法を開発することを目的とする。 1.本研究では、アリル位に置換基を導入しレキレ-ト制御能を活用する手法により、末端オレフィンをアルデヒド体に変換する方法について先ず検討した。その結果、NーフェニルーNーアリルアセトアニリド体を式(1)に示す条件下で分子状酸素と反応させると、94%の選択性でアルデヒド体が生成することを見い出した。また、N、Nー二置換アミド体は、一般にメチルケトン体よりもアルデヒド体を優先的に与えることが判明した。本反応では、オレフィンへの酸素原子の移行は分子状酸素によりなされ、水からの酸素移行によるWacker法とは原理的に異なることが明らかになった点も特筆される。種々の基質への本酸化反応の適用は、次年度の課題となった。 2.PdCl_2/CuCl/オキシム系触媒を用い直鎖末端オレフィンのCー1位炭素を選択的に酸素酸化させる方法を検討したところ、溶媒としてtーブタノ-ルを用いると末端位酸化の選択性は向上するが、触媒活性が低下することが判った。
|