研究概要 |
1.低極性溶媒中でのエキシプレックスを経由する芳香炭化水素の光アミノ化反応 フェナントレンなどの芳香族炭化水素のアルキルアミンによるアミノ化反応は、極性溶媒中電子受容体存在下で光照射を行なうと簡単に起こることを既に見いだしている。同様の反応を1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、または1,4-ジオキサンなどの低極性溶媒中で行なった時、光アミノ化反応が進行しない。しかしその系にテトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラ-ト塩を添加すると光アミノ化反応が進行する事が明らかになった。反応の速度論的解析の結果、これは低極性溶媒中で生成するフェナントレンとp-ジシアノベンゼンのエキシプレックスが塩によってイオンラジカルに解離し、その結果生じたイオン対ヘアミンが求核攻撃する機構で進行していることが分かった。 2.芳香族炭化水素の電子移動酸素酸化反応における溶媒効果と塩効果 ナフタレンなどの芳香族炭化水素の酸素による酸化反応を9,10-ジシアノアントラセンによる光増感反応で行なった。酸化生成物は反応溶媒や添加する塩に依存することが分かった。テトラエチルアンモニウムアセテ-トを添加すると芳香族カルボン酸が優先的に生成することが分かった。また、生成物は反応溶媒にも依存しており、塩化メチレンとアセトニトリル中では異なる酸か生成物を与えた。 3.芳香族炭化水素の光アミノ化反応における立体化学に対する溶媒効果 光アミノ化反応の立体化学を検討した結果、アミンは高い割合でトランス付加で進行している事が明らかになった。しかし、立体化学は溶媒によってほとんど変化しないことが分かった。
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